AGA治療の領収書は、確定申告で戻ってくると決まったわけではありません。それでも、捨てないほうがいい理由があります。
先に結論:三つの情報源を分けて読む
この記事は税務の断定をしません。筆者は税理士ではなく、個別の申告が認められるかを判断する立場にもありません。そのうえで、混ざりやすい三つの情報を分けて整理します。
1. 国税庁(タックスアンサー)が書いていること2. 各クリニックの公式ページが書いていること3. 自分のケースで認められるかの判断(税務署・税理士に確認)
特に2は、クリニックの説明であって税務署の判断ではありません。ここを混同すると、「適用外と書いてあった」「いや戻ってきた」という話が食い違います。

国税庁が書いていること
国税庁のタックスアンサー1120番によると、控除の対象は、納税者本人か生計を一にする配偶者・親族のために、その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費です。1122番には、医師による診療や治療の対価、治療や療養に必要な医薬品の購入代金が例として挙がっています。
一方、対象にならない例として、健康診断の費用、ビタミン剤など病気の予防や健康増進のための医薬品の購入代金、治療に直接関係しないマッサージなどが挙げられています。歯の治療を扱う1128番には、容ぼうを美化するための費用は対象にならないという趣旨の記載もあります。いずれも令和8年4月1日現在の法令等に基づく内容です。
筆者が確認した上記の範囲では、薄毛やAGAに個別に触れた記載は見つかりませんでした。つまり、国税庁のページだけで「AGAは対象」「AGAは対象外」と言い切ることはできません。
控除額の計算式と、10万円の壁
1120番の計算式は、「実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額-10万円」です。控除額は最高200万円で、その年の総所得金額等が200万円未満の人は、10万円の代わりに総所得金額等の5%を引きます。
仮の例です。家族の医療費を含めて年間15万円を支払ったとすると、15万円-10万円=5万円が控除額になります。戻る税額は、この5万円に税率が関わるため人によって違います。
DMMの発毛ライト フィナステリドセット(2026年11月5日時点の公式ページ)で計算すると、12ヶ月定期は19,800円+配送料550円=20,350円、1ヶ月ごとの決済で毎月配送なら5,900円×12+550円×12=77,400円です。どちらも、この治療費だけでは10万円に届きません。他の医療費と合算して初めて意味を持つ金額です。

各院の公式が書いていること
筆者が2026年11月5日に確認できた範囲では、書き方は分かれていました。
- 湘南AGAクリニックの料金ページ:「AGA治療は医療控除適用外です」という見出しで、「医療費控除を適用することはできません」と明記しています。
- DMMオンラインクリニック:公的医療保険が適用されない自由診療であることは書かれていますが、医療費控除についての記載はありません。
ほかの院は今回確認していません。また、院の記載は院の見解であり、税務署が個別に認めない、あるいは認めるという意味ではありません。「記載なし」も「対象になる」とは読めません。
判断の分かれ目と、断定できない理由
国税庁の考え方の軸は、「診療や治療の対価か」「予防・健康増進・容ぼうの美化か」という目的の区別にあります。AGAがどちらに当たるかは、国税庁のページに名指しがないため、筆者には断定できません。同じAGA治療でも、診断の内容や状況によって扱いが分かれる可能性もあります。
だから結論は、「自己判断で控除に入れる前に、税務署か税理士に確認する」です。確認の電話は、領収書と診察の内容が分かる資料を手元に置いてからのほうが、話が早く済みます。
領収
書と明細の残し方1120番には、確定申告期限等から5年を経過する日までは、領収書の提示や提出を求められる場合があるため保管が必要、とあります。確認前に捨てると、あとで使えるかどうかを検討する余地まで失います。
- 診察料、薬代、配送料、血液検査などの領収書や決済明細を、年ごとに一つのフォルダにまとめる
- オンライン診療の決済メールは、PDFで保存しておく
- 1年分の合計額だけ、月ごとに表へ書き写しておく
医療費控除の明細書は、領収書から作成して確定申告書に添付します。事務作業としては、1年分を12月にまとめるより、毎月5分で記録するほうが楽です。
セルフメディケーション税制との違い
1122番には、特定一般用医薬品(市販薬の一部)の購入費について、一定の健康診査や予防接種を受けている場合に、通常の医療費控除との選択でセルフメディケーション税制の対象になる、という記載があります。対象は市販薬の購入費で、医療機関での診察料や処方薬とは枠組みが違います。違いの整理は、ニコニコデスクの「医療費控除とセルフメディケーション税制の違い」でも紹介しています。
税務署・税理士に聞くときの質問
- 薄毛治療(AGA)の診察料と処方薬の費用は、控除の対象になる可能性があるか
- 対象になる場合、診断名や診療明細など、どの書類が必要か
- 会社の経費や個人事業の必要経費とは別の扱いになるか
筆者は経営者向けの記事として書いていますが、法人や個人事業の経費に入れられるかは別の論点です。ここも税理士に確認してください。
DMM発毛ライトプランを確認する
2026年11月5日時点の公式ページでは、発毛ライト フィナステリドセット(フィナステリド1mg+ミノキシジル内服5mg)は、12ヶ月定期の月額換算で1,650円(税込、薬代総額19,800円)、1ヶ月ごとの決済で月5,900円(税込)、診察料0円、配送料は1回550円(税込)です。ミノキシジル内服は国内未承認で、日本皮膚科学会のガイドライン(2017年版)では推奨度Dです。薬には性機能への影響(性欲減退、勃起機能の低下など)や初期脱毛があり、効果の判定には6か月〜1年かかるとされ、中止すると効果は維持されません。セットの内容が自分に合うかは、医師の診察で確認してください。料金は変わるため、契約前に公式ページで確認をお願いします。
案内はこちら:
Q&A
Q. AGA治療は医療費控除の対象ですか。A. 国税庁のページにAGAを名指しした記載は、筆者の確認範囲では見つかりませんでした。院の公式には「適用外」と書くところもありますが、個別の判断は税務署か税理士に確認してください。
Q. 領収書はいつまで保管しますか。A. 国税庁1120番では、確定申告期限等から5年を経過する日までとされています。
まとめ
医療費控除は、国税庁の記載、各院の公式、自分のケースの判断を分けて読むのが基本です。AGA治療費は単独では10万円に届かないことが多く、他の医療費との合算で意味が出ます。領収書は保管し、判断は税務署か税理士に聞いてください。
合わせて読みたい
出典・確認先
- 国税庁「タックスアンサー 1120番 医療費を支払ったとき」(2026年11月5日確認)
- 国税庁「1122番 医療費控除の対象となる医療費」(2026年11月5日確認)
- 国税庁「1128番 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」(2026年11月5日確認)
- 湘南AGAクリニック「料金(公式)」(2026年11月5日確認)
- DMMオンラインクリニック「AGA男性メニュー(公式)」(2026年11月5日確認)
- ニコニコデスク「医療費控除とセルフメディケーション税制の違い」(2026年11月5日確認)
- 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」(2026年11月5日確認)

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